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2006年 11月 13日
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「日本イノベーター大賞」なんて賞があるんですね。賞なんてどうでもいいでしょう!それが賞というもの、かな。だけれども、今回受賞した旭山動物園(小菅正夫園長)の取り組みには注目するところがある。 生き生きとした動物本来の生態をありのまま見せる「行動展示」という手法を考案し、一時は閉園の危機にあった旭川市旭山動物園を日本有数の動物園に再生させた。1996年度に年間約26万人まで落ち込んだ旭山動物園の入園者数は2005年度に207万人を記録、今年度も10月3日に2005年度の入園者数を突破するなど記録を更新し続けている。小菅氏の取り組みは、動物園の枠組みを超え、水族館、リゾート施設をはじめとした観光・サービス産業全体に新風を吹き込んだだけでなく、その独創的な取り組みは日本の“ハコモノ行政”の在り方に一石を投じ、日本の本格再生のカギを握る地方活性化の道筋を示したとして、大賞に選ばれた。 「一時は閉園の危機」にあったということは財政的には逼迫していたはず。だが、ここにこそ「イノベーション」を促す力が働いていたのではないだろうか。新たにものを買うことはできない。購入して新たに付け足すことはできない。だとすれば、既にあるものを材料にして組み換えを行ったのであろう。つまり、ありあわせのもを素材に新たなものをつくってしまう。それは、かつてレヴィ・ストロースが『野生の思考』のなかで述べていた「ブリコラージュ」である。 器用人(ブリコルール)は多種多様の仕事をすることができる。しかしながらエンジニアとはちがって、仕事の一つ一つについてその計画に即して考案され購入された材料や器具がなければ手が下せぬというようなことはない。彼の使う材料の世界は閉じている。そして「ありあわせ」、すなわちそのときそのとき限られた道具と材料の集合で何とかするというのがゲームの規則である。そかも、もちあわせの道具や材料は雑多でまとまりがない。なぜなら、「もちあわせ」の内容構成は、目下の計画にも、またいかなる特定の計画にも無関係で、偶然の結果できたものだからである。すなわち、いろいろな機会にストックが更新され増加し、また前にものを作ったり壊したりしたときの残りもので維持されているのである。したがって器用人(ブリコルール)の使うものの集合は、ある一つの計画によって定義されるものではない。 北海道旭川市、広大な土地に大きな空が天蓋となり、横へ横へどこまでもスライドしながら雲を巻き込み、幾重もの地平線が縁取りをする。ここにあっては、人も生物としての位相をあらわにしていくことだろう。これまでの動物と人間の区別に変わって、天蓋の淵と地平線によって隈取される生物圏の共同体の住人となる。だから、そこにはそれまでにあった人と動物を隔てる壁はどんどん取り払われていくことになる。当然、そうなればコストは低く抑えられる。器用人(ブリコルール)にとってこれらは恰好の「ありあわせ」の素材である。あとは、これら天蓋や地平線の縁取り、更にこれらによって隈取される生物圏に沿って、それらを含めた手元の「もちあわせ」の素材を使って新たな組み合わせのもとに「世界」を構成していけばいいのだ。そこでは『生き生きとした動物本来の生態をありのまま見せる「行動展示」』のみならず「生物としての位相をあらわにしていく」人の姿も動物に向かって「行動展示」されることだろう。これが『野生の思考』による器用人(ブリコルール)の「ブリコラージュ」である。「彼の使う材料の世界は閉じて」いても、構築される世界は開かれている。 また、「ありあわせ」「もちあわせ」は単にそれとしての素材としてあるのではない。それらは「かつて」という時間の相を持っている。それが新たな構成によって、新たな位相のもとに空間を作り出しつつも、空間が改まればその分だけ「かつて」という時間が逆流しだす。 この新たな空間と「かつて」という時間との異なる層を同時にコラボレーションしながら構成・建築していくのが器用人(ブリコルール)による「ブリコラージュ」の可能性の中心だろう。単に新しいでもなく、古いでもない、だからこそ、安心しながら刺激的な、そういう現在を楽しむことができるのだろう。「1996年度に年間約26万人まで落ち込んだ旭山動物園の入園者数は2005年度に207万人を記録、今年度も10月3日に2005年度の入園者数を突破するなど記録を更新し続けている」。入園者の数だけ新たな層を生成し続けていく。旭川市旭山動物園に乾杯! \\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
by toroom
| 2006-11-13 18:52
| 政治
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